【書評】見ている世界は本物か「僕の光輝く世界(著:山本弘)」講談社文庫

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こんにちは、めぇ太です。

今日も最近文庫化された不思議な設定のミステリー。

僕の光輝く世界 (講談社文庫)

2014年に単行本として発行された作品の文庫化です。

しょてんでブラブラしていたら、平積みしてある本の中にキラキラ光っているものが見えたんです。それがこの作品の帯!

店の照明が反射して金色の帯が光って見えましたよ。

とりあえず気になったので手に取ってみたところ、ミステリーじゃないですか!そりゃ即買いでしょ!

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あらすじ

4つのストーリーからなる本作。

第1話~第3話は短編、第4話は中編といったところ。

第1話「黄金仮面は笑う」では、物語は入院中の病室でいじめられているオタク高校生・高根沢光輝が黄金仮面の人物に襲われるところから始まる。一体、黄金仮面は何者なのか、なぜ命を狙われるのか・・・

入院前、光輝は黄金の仮面をつけた人物に橋の上から突き落とされていた。落ちた先の川の水深が浅かったため、頭を打ち、病院に搬送されたのだった。

そして、このとき頭を打ったせいで光輝は失明してしまう。最初は光輝が実際に見えている様子だったため、医者も失明していないと考えていたが、そうではなかった。ただ失明しただけではなく、「アントン症候群」という症状を発症し、脳が無意識に映像を作り出し、それが現実のように見えていたのだ。

アントン症候群が発覚する前、入院中の光輝は病院で超絶美少女・神無月夕と出会い、声をかける。根暗な少年だったはずが、頭を打った症状の一つである「多幸感」から積極的になり、ナンパすることができたのだ。

第2話「少女は壁に消える」では、自宅に遊びに来た夕とおしゃべりをしていると、姉が帰宅してきた。夕を紹介しようとすると、なんと夕が壁に吸い込まれるように消えていってしまった・・・一体どこへ消えたのか。まさか、見えないだけでなく、声や体すら妄想で作り上げた存在で最初から存在していなかったのか・・・

っていっても、実在するんですけどね。あくまでも失明してしまい、見えている世界は自分の脳が作り上げたイメージなだけで、他の感覚は生きている。だから、妄想で作り上げるなんでのはありえないわけで、そんなのは妄想を実体化する具現化系の念能力になってしまいます。そんなファンタジーミステリではないです笑

じゃあ、一体どこへ消えたのか??

第3話では光輝と夕で小説家を目指すきっかけとなり、第4話では近所のミステリ作家に弟子入り志願する。そこでなんと作家のマンションで殺人事件が起き、その事件の解決へと導かれる。

という流れになっています。

感想

ミステリとしての部分はおもしろく、アントン症候群という設定もあいまって、なかなかよかったです。
ただ!

光輝の夕に対する思いとか、いちゃつくシーンがなんかぞわぞわする、、、

読んでてなかなかキツイものがありました、、、
ってか、アントン症候群のせいで夕の本当の顔がわからず、自分では超絶美少女に見えるからって好きだってのは、どうなんだ、、、?

作中でも何回も夕が自分のこと、特に顔のことを否定的に言っているシーンもあるので、そんな美少女ではないことは明らかです。

ってか、むしろ可愛くないんじゃね??

もし、夕が「ちびまる子ちゃん」に出てくる『みぎわさん』みたいな感じだったらどうするよ?光輝には『城ケ崎さん』に見えてたとしてもきつすぎでしょ・・・ってか、一度でもみぎわさんって意識しちゃったらそう見えるようになるんだよね・・・怖!!

そして、光輝のアントン症候群は光輝の記憶力や洞察力のおかげで素晴らしい能力となっています。マンガを開くと無意識から作り上げた自分の作品を読むことができる!!

羨ましい・・・!!

ちゃんとした筋書きにならないことも多いとなっていますが、それでも自然にオリジナル作品が目に浮かぶ、というか見えるというのはいいなぁ~

また、帯や作品紹介では「想像力を駆使して」とありますが、これは想像力ではなく、光輝の無意識にある推理力をイメージ化しているだけであって想像で謎を解いているわけではないです。無意識を映像に発現できるってしゅごい・・・

ってことで、ちょっとあれな恋愛模様のぞわぞわが気にならなければ、ミステリーとしてはアントン症候群という不思議な設定がかなり楽しめる作品です。

一味違うミステリーを味わいたい人にぜひおすすめです!

では!!

<作品紹介より>

気弱なオタク男子、光輝は進学先の高校でもいじめられ、あげくに橋から突き落とされる。搬送先の病院で絶世の美少女と運命の出会いを遂げた、と思いきや、実は既に失明してしまっていた。美少女は果たして妄想なのか実在なのか・・・・・視覚を失った少年が、想像力を駆使して奇妙な謎と格闘する不思議ミステリー。

「僕の光輝く世界」 著:山本弘 講談社文庫 860円(税抜き)

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