今日は伊坂幸太郎だぁぁぁぁ!
2014年に発行された単行本の文庫版です。3年も前ですね・・・
本作、首折り男のための協奏曲 (新潮文庫)は協奏曲というだけあって、短編集となっています。前回、同じく新潮文庫で出ているのも短編集のジャイロスコープ (新潮文庫)でしたねぇ。短編集がつづきます。
タイトルが「首折り男」なんてついていて明らかに物騒です・・・あ、もちろん殺し屋ですよ笑
そんな殺し屋である首折り男にまつわる短編集。
かと思いきや!!
7本の短編のうち、3本は首折り男と全っっったく関係ありません。読んでいても「うん?あれ?どういうこと・・・?」と疑問に思いましたよ。
最初が「首折り男の周辺」というだけあって、ここから次の作品につながっていくかと、普通は思いますよねぇ。違うんですよ。同じ登場人物は出てくるけども首折り男は出てこないし、出てこないどころか全く関係ない。
ま、そこは伊坂幸太郎がいつでもなんかしらの伏線をはってどこかで話をつなげてると思い込むなよ、という意図ではないか、と思うことにしました。作品紹介文では❝物語は絡み、繋がり❞とありますがね。
じゃあ、なんでタイトルが「首折り男のための協奏曲」なのかという疑問があるんですよね。何作か首折り男に関係する作品もあるのに、短編タイトルをそのまま表題にするのが嫌だったのでしょうか・・・
あらすじ
1作目「首折り男の周辺」ではしっかりと首折り男が登場します。メイン作品ですね。
首を折られて死亡する事件が連続して発生していた。犯人は首折り男と呼ばれ、一瞬のうちに首を折って殺害するのを特徴とする殺し屋。
とある老夫婦・若林夫妻はワイドショーを見て、隣のアパートの男が犯人なのではないかと疑いだす。しかも、銀行のATMや駅の切符売り場で大声を出して前の人をせかしたりしている。
もしかして本当に彼が首折り男なのか?
ある大柄の男・小笠原稔は小太りの男に人違いであやしげな依頼をされる。どうやら自分にそっくりな男がいるらしく、その男に成りすましてある人物と会ってくれということだ。一体、そのそっくりさんは何者なのか。何のためになりすます必要があったのか。
3作目は若林夫妻の若かりし頃、妻・絵美が知り合った数日間の恋人?を探偵としての黒澤が調査するというお話。夫ががんで入院した今、若いころの思い出がよみがえり、彼のことが気になった。あのときの彼と続いていればどんな人生になっていたのかと。
そして、黒澤は見事に彼の居場所を突き止める。驚きの結末!
5作目「月曜日から逃げろ」も黒澤が大活躍する話。泥棒としてね笑
テレビ制作プロダクションに勤める男・久喜山にそそのかされ、仕事をした黒澤。つきまとってうっとうしい久喜山へのお返しをする黒澤の見事な手際!
しかも、何気に叙述トリックを混ぜこんでて、超いい!!
感想
あいかわらずの伊坂ワールドでした笑
長編はもちろんおもしろいし、ここできたか!っていう伏線の回収がたまらないですよね。
短編は一作一作は短いので読みごたえという点では少し物足りない部分がありますが、短編同士のつながりが楽しい。本作はあんまり意味のあるつながりは意図的に失くしているようですがね・・・
そして、「僕の舟」「人間らしく」「月曜日から逃げろ」の3作品で黒澤が登場し大活躍します。黒澤ファン歓喜!
黒澤はすごくいいキャラクターなのにあんまり多く登場しないんですよね~サラッと出てくるくらい。物足りなかったので今回の3作はうれしいです!
では!!
被害者は一瞬で首を捻られ、殺された。殺し屋の名は、首折り男。テレビ番組の報道を見て、隣人の❝彼❞が犯人ではないか、と疑う老夫婦。いじめに遭う中学生は❝彼❞に助けられ、幹事が欠席した合コンの席では首折り殺人が話題に上る。一方で、泥棒・黒澤は恋路の調査に盗みの依頼と大忙し。二人の男を軸に物語は絡み、繋がり、やがて驚きへと至る!伊坂幸太郎の神髄、ここにあり。
首折り男のための協奏曲 著:伊坂幸太郎 新潮文庫 670円(税別)