【書評(更新)】名探偵争奪戦!「シャーロック・ホームズの十字架、(著:似鳥鶏)」講談社タイガ

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こんばんは、めぇ太です。

今日はミステリーの書評ですよ!

著者の似鳥鶏(にたどりけい)さんは、高校で起こる不可思議な現象の謎を解く学園系ミステリシリーズ「理由あって冬に出る」を第1作として全部で7作品ある<市立高校シリーズ>、ほのぼのとした動物園に起きる謎から犯人とのスリリングなやりとりがおもしろい「午後からはワニ日和」を含む3作品<楓ケ丘動物園シリーズ>、「戦力外捜査官 姫デカ」から続く<戦力外捜査官シリーズ>(3年前に武井咲主演でドラマになりましたね。)の3つのシリーズとその他にも短編集を生み出している作家さんです。

そして、本作は講談社タイガから発行される新たな書き下ろし作品シリーズ!第2作!

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あらすじ

一度スイッチが入ると周囲のものが全く見えなくなり、問題を解決するまでの間、超人的な集中力と独創性を発揮する「ホームズ遺伝子群」。

米国ではその保有者を監禁・拉致し、強制的に技術開発を行わせる組織「機関」が暗躍していた。「機関」は保有者に能力を覚醒・拉致するためだけに、日々何の関係もない人々を犠牲にし、「SDQUS(不可能犯罪)案件」を作り出していました。

「機関」は経済の中心的存在のため、各国は表立って「機関」の活動を阻止することはできず、普通に生活している人々が犠牲になるのをなかなか止めることができなかったのです。対応は後手に回っていました。

そんな中、日本では海外でも多数の株式を保有する旧財閥・御子柴家の大グループ「ミコグループ」が警察と非公式に裏で協力し、「SDQUS案件」の解決、保有者の覚醒の阻止に乗り出していた!

御子柴家の御曹司・辰巳に仕える天野直人と七海の兄妹はただの使用人と子どもではないんです。七海はホームズ遺伝子の保有者で、ひとたびスイッチが入ると超人的な推理能力を発揮!兄の直人は使用人として働き、「SDQUS案件」解決に乗り出した際は人と話ができない七海の推理を読み解く役目があります。そう、主人公の直人は推理しない、通訳の役なのです!

でも、少しのヒントで七海の推理を理解して、謎を解決しているので十分な能力があるといえるでしょう。本人は役に立てていないという心情ですが・・・

本作では3つの話が描かれています。

第1話 強酸性湖で泳ぐ は表題の「十字架」の話ですね。最後の解決のときに主人公たちが颯爽と登場してズバッと解決します。

第2話 争奪戦の島 は普通に生活している保有者たちが身勝手な「機関」に監禁・拉致されるということに憤りを感じて焦る直人の気持ちを描いた話です。

第3話 象になる罪 は本作でのポイントとなるところですね。「機関」と「御子柴家(国)」が対立することで、それに巻き込まれて犠牲になる無関係な人々。作中では象のケンカで傷つくのはいつだって踏みつぶされる草だという言葉で表現されています。これはなかなかに辛辣な言葉で第3話では直人はこれに悩みます。

感想

本作はシリーズ2作目なのですが、1作のレビュー記事はありませんよね?

そうです。

1作目、読んでません!

読み終わってから新刊案内を見て気づきました。

いや、確かに主人公の兄妹が御子柴家に仕えることになった経緯が描かれていないので、「あれ?」とは思ったんですよ。

でも、よくあるじゃないですか。過去の話は第2作目以降に書かれるとか。

「なるほど、そうか。次にそこらへんの話かかれるやつやな!」って思ってたんです・・・

違いました・・・

今読んでるのを読み終わったら1作目「シャーロック・ホームズの不均衡」読みます。

まぁ、でも、1作目読んでなくても、ちゃんと世界観の説明とか用語の説明は最初に書かれているので2作目からでも大丈夫です!!笑 1作目から読むに越したことはないですが・・・

あ、で感想ですが、おもしろいです。表題作を含む3つの話となっていますが、どれも奇抜なトリックで不可能犯罪と思える状況で事件が起きています。

ただ、少し無理があるというか失敗する可能性のあるトリックでもそれが答えにされているのでちょっとどうかな、という感じです。確実に犯行が実施され、それ以外の真相はあり得ない、という解決でないと「う~ん?」って感じですね。

まぁでも本作はそこのトリック自体は大した問題じゃないんです。

作品中も何度か登場していますが、問題には必ず「別解」があるんですよね。どんな問題でも答えは一つじゃないんです。第1話では推理ゲームのような「シチュエーションパズル問題」が得意な人たちが登場するのですが、みんなただ答えを考えるだけじゃつまらないからと「別解」を探しているというのです。

冒頭、作中に難問かシチュエーションパズルを示されていますので、そういった問題が好きな方にもおすすめしたい1冊です!

謎が全て解けたあなたも「ホームズ遺伝子」候補者かも!?

追加:第1作「シャーロック・ホームズの不均衡」

はい!!ちゃんと1作目を読みました!!

やっぱり、1作目に登場した出来事が何の説明もなく2作目に出てたので、やっぱり1作目から読むに越したことはないです・・・

けど、2作目の最初に登場人物と小説の設定がしっかり説明されているので、まぁ2作目からでも読めなくはなかった。2作目の1話は1作目の間の出来事だしね。

なんにせよ、トリックが正直「う~ん」って感じ。密室にするための機械とか使うし。普通のミステリ的な考えでいると「それはありなのか?」って感じ。こういう装置が使われたはず、って言われても、それでいいのか?って思ってしまう。

けど、SD案件を作るためだけに用意されたトリックだから、物語的にはそれでいいんだけど・・・

ストーリーはおもしろいし、保有者を救いたいけど大っぴらにはできない、けど早く解決しないと、とか自分たちが危険な目にあってしまう、という葛藤が描かれているところがいいですね。

では!!

<作品紹介(裏表紙)より>

世界経済の鍵を握るホームズ遺伝子群。在野に潜む遺伝子保有者を選別・拉致するため、不可能犯罪を創作する国際組織-「機関(シンクタンク)」。

保有者である妹・七海と、天野直人は彼らが仕掛けた謎と対峙する!強酸性の湖に立てられた十字架の謎。密室灯台の中で転落死した男。500mの距離を一瞬でゼロにしたのは、犯人か被害者か・・・・・。

本格ミステリの旗手が挑む、クイーン問題&驚天動地のトリック!

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