こんばんは、めぇ太です。
今回は読んだことのない作家さんの作品で久しぶりにおもしろいと思える作品でした。
特に目当ての書籍があるわけじゃなくても、本屋さんをウロウロするのって楽しいので大好きです。平積みになっている新刊の中から、思いがけず好みの作品に出会うこともあるので貴重な時間。
今回ご紹介する神様の裏の顔 (角川文庫)もそんな風に書店をウロウロしていると、帯に有栖川有栖や道尾秀介など有名なミステリ作家さんの名前がずらり。そして大絶賛しています!第34回横溝正史ミステリ大賞の大賞受賞作とのことで、気になって手に取ってしまいました。
そしたらこれが見事に僕の好みにヒット!
シリアス、サスペンスと笑いのバランスが絶妙で、笑いのセンスが凄まじい。
なんてったって、作者が元お笑い芸人とのことですから、そりゃあ笑いのセンスも他の作家さんとは一線を画していますよ。
あらすじ
「神様」とも呼ばれるほどのカリスマ教師・坪井誠造が68歳という若さで亡くなった。全ての生徒を自分の子どものように接し、校長になってからは校長室で不登校生徒に勉強を教えたり、引退後もNPO活動を通して子どもたちに向き合うほどの教育者だった。
そんな坪井誠造を慕う者は多く、通夜でも教え子や同僚、近所の人、所有するアパートの住人などほとんどの参列者が涙を流す。
物語の場面は目次のとおり、読経・焼香・法話etcと通夜の一夜だけの話になっています。
最初は読経のシーンから始まる通夜の席で、娘の坪井晴美・友美、元教え子の斎木直光、元同僚の根岸義法、お隣さんの香村広子、元教え子兼店子兼恋人の鮎川茉希、若手芸人で店子の寺島悠の7パートでそれぞれの人物が語り手となって、坪井誠造との思い出を回想する。
そして、回想するうちにそれぞれが経験した過去の事件に坪井誠造が関わっているらしき状況証拠があらわれる。
通夜が進行していき、ふとした拍子に、もしかすると、神様とも呼ばれる坪井誠造はホントはいい人ではないのではないか、それどころかとんでもない犯罪者ではないか、という疑問が沸き上がり、全くの無関係だった語り手たちの登場人物が集まり、坪井誠造の裏の顔を暴いていく。
そして、二転三転する坪井誠造の人物像!
一体、ホントのところはどうなのよ!!!?ってところが気になって、どんどん先に読み進めていってしまいます。
そして、最終的に現れるのはとんでもない真実が!!
感想
登場人物が一堂に会するところまでは、それぞれが心の底でほんの少しだけ坪井誠造を疑ったことがある、とか、他の人が関係する事件の状況証拠を持っている、という状態。
読んでる側は「これ、さっき出てきたやつや!あぁ~こいつ気づいてないわ~ってか知らんのか!ここからどうなるんやろ!?」って感じで、登場人物も知らない事件のつながりを垣間見せられて、先が気になって仕方がなくなります。たまらんね!!
そして、それぞれの登場人物が語るピースがどんどんつながっていくところが、なんともおもしろい!
しかも、一度疑いだすと、通夜の席では何度も涙を流していた登場人物たちが、あっという間に坪井誠造は実はとんでもない人物だった!と思い込む。そして、逆に考え直し始めると、またあっという間に尊敬の念を思い出す。
人ってなんて流されやすいんでしょう・・・
全ては状況証拠しかないのに疑ったり、また信じたり。
きっと、その人をどう見るか、自分の見方次第でいい人にも悪い人にもなるんでしょうね。
なんと自分勝手な生き物なのでしょう(哀)
まぁ、その二転三転する推理がおもしろいんですけどね!!笑
そして、笑いのセンス。これがまたほんとに最高です。
ロ〇コンが原因で厳格な生活指導となったゴリラ顔の教師とか、明らかにこれからみんなで集まって重要な話をするシーンでトイレに行ってそのまま逃げようとする探偵役?の芸人とか。おもしろすぎでしょ笑
まぁ、もし熱意をもって教師になったのに実はロ〇コンで、女子どころか男子生徒にも指導できなかったら悲劇ですけどね。
僕の予想ではきっと近いうちに映画化されます。大ヒット上映間違いなしです。
回想シーン以外では通夜の一夜だけでのストーリーのミステリー映画とか絶対おもしろいやつやん!!
笑えるし、謎に引き込まれること間違いなしです。こいつはマジでおすすめの作品ですよ!!
では!!
<作品紹介より>
神様のような清廉潔白な教師、坪井誠造が逝去した。その通夜は悲しみに包まれ、誰しもが涙した。・・・・・のだが、参列者たちが「神様」を偲ぶ中、とんでもない疑惑が。実は坪井は、凶悪な犯罪者だったのではないか・・・・・。坪井の美しい娘、後輩教師、教え子のアラフォー男性と今時ギャル、ご近所の主婦とお笑い芸人。二転三転する彼らの推理は!?どんでん返しの結末に話題騒然!!第34回横溝正史ミステリ大賞《大賞》受賞の衝撃ミステリ!