こんばんは、めぇ太です。
4月からの春アニメで「サクラダリセット」が放送開始されますね。タイムリープもの好きなので楽しみです!
それはとりあえず端っこの方に置いといて・・・と、原作者の河野裕の青春ミステリ作品「いなくなれ、群青」から始まる『階段島』シリーズも超絶おもしろいので、ぜひおすすめしたいです。ちなみに読み方は「かいだんとう」です。ジャンルとしては青春ミステリとされていますが、ファンタジー要素が強いです。
文庫本の帯によると、「第8回大学読書人大賞 第1位」、「読書メーター読みたい本ランキング 第1位」、「第2回SUGOI JAPAN Award 第2位」とかなりの人気ですね。どうせなら全部1位にして欲しいけども。
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そんな読書家必須のアプリでのランキングで1位なのですから、これはもう読むしかない!ということがわかります。
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あらすじ
シリーズは3作目を除いて時系列的につながっている話になるので、1作目で最も大きな謎は2作目以降では前提として話が展開します。なので、僕もその謎については語ってしまいます。もし知りたくない方はぜひ別の小説の紹介を読んでいただけるとうれしいです!!
ただ、そこを知ってしまったとしてもストーリーは十分楽しめるので問題ないと思いますけどね!
では、全体を通したあらすじはこんな感じ。
ある日、高校生の七草は気づくとある島にいた。そこは捨てられた人たちが住む島で、住人は失くしたものを見つけないと島から出ることはできないという。島での生活は特に不自由はなく、Amazonも利用できるし、ネットも使うことができる!ただし、島の外との連絡は一切できないし、どうやっても島から出ることはできない。つまり、島の外とのメールの送受信はできないし、船で島を出ようとするとなぜか戻ってきてしまう。島の中枢にある山の上には魔女が住んでいて、彼女が全てを管理していると言われている。ファンタジー。
さらに、島の住人たちは島に来るときの記憶が残っておらず、なぜ島にいるのかもわからない状態だった。七草も同じで、なぜ島にいるのか、どうやってきたのかはわからない状態だった。
そして、島での生活もしばらくたったころ、物語のきっかけが突然やってくる。
ある日、朝の海辺を歩いていると、そこには2年前に引っ越して以来、会うことのなかった幼馴染の真辺由宇の姿が。
純粋な理想主義者。どこまでもまっすぐな真辺が現れたことで島での生活は大きく動き始める。
各作品のあらすじは省略!!作品紹介を読んでね!
感想
もういきなり1作目のネタバレになりますが、これは自分の嫌いな自分を捨てる話です。捨てるということからネガティブな話のようではあるのですが、そうではなく、むしろ成長することの物語です。
自分の人格を捨てるということは、自分自身でない方がいいと思っている自分の一部を失くす、ということになります。確かにそれだけだと、逃げていることになりますね。
でも、その捨てられた自分自身、自分の嫌いな一部を受け入れたとすればそれは成長したことになるのではないでしょうか。
ヒロイン?である真辺はどこまでもまっすぐな人間で、捨てられた人ばかりが集められた階段島が嫌いだと言います。それは成長を止めた人たちが集まった島だから。自分の嫌いな部分、悪い部分を魔女の力で切り捨てれば、よくなったと思うかもしれないけど、それは成長しないで結果だけ手に入れた自分。自分自身の嫌いな部分を受け入れられずに逃げたことになる。
自分自身と向き合い、嫌いな部分を受け入れ成長する物語だと僕は思っています。
といっても、必ずしも嫌いな部分を捨てるわけじゃなくて、自分の人格の一部であれば何でもいいようです。
僕が好きなのは2作目「その白さえ嘘だとしても」
佐々岡が女の子のためにヴァイオリンの弦探しに奔走して、ボロボロになる姿は読んでいてグッときます。ゲームの勇者のようなヒーローになりたくて一生懸命な姿です。
章タイトルの「ボロボロのヒーローをみて一体誰が笑えるというんだ」はそのもののセリフは出てこないけど、真辺がこれに近いことを言っています。けど、このタイトル素晴らしいです。
基本的に河野裕の作品はクサイ言い回しというかめんどくせぇな!って感じの文章が多いです。というかほとんどそんな感じ。
1作目の最初のページから「これこの調子続くんかいな・・・」と思ったけど、読んでるうちに慣れてきたし、逆になかったら物足りない感じがするかもしれません。
<作品紹介より>
「いなくなれ、群青」
失くしたものは、何か。心を穿つ青春ミステリ。
11月19日午前6時42分、僕は彼女に再会した。誰よりも真っ直ぐで、正しく、凛々しい少女、真辺由宇。あるはずのない出会いは、安定した僕の高校生活を一変させる。奇妙な島。連続落書き事件。そこに秘められた謎・・・・・。僕はどうして、ここにいるのか。彼女はなぜ、ここに来たのか。やがて明かされる真相は、僕らの青春に残酷な現実を突きつける。「階段島」シリーズ、開幕。
「その白さえ嘘だとしても」
あの頃の僕らは、誰かのヒーローになりたかった。
クリスマスを目前に控えた階段島を事件が襲う。インターネットの通販が使えないー。物資を外部に依存する島のライフラインは、ある日突然、遮断された。犯人とされるハッカーを追う真辺由宇。後輩女子のためにヴァイオリンの言を探す佐々岡。島の七不思議に巻き込まれる水谷。そしてイヴ、各々の物語が交差するとき、七草は階段島最大の謎と対峙する。心を穿つ青春ミステリ、第2弾。
「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」
傷つき、泣いて、僕たちは恋をする。
七草は引き算の魔女を知っていますかー。夏休みの終わり、真辺由宇と運命的な再会を果たした僕は、彼女からのメールをきっかけに、魔女の噂を追い始める。高校生と、魔女?ありえない組み合わせは、しかし確かな実感を伴って、僕と真辺の関係を侵食していく。一方、その渦中に現れた謎の少女・安達。現実世界における事件の真相が、いま明かされる。心を穿つ青春ミステリ、第3弾。
「凶器は壊れた黒の叫び」
君が求めたものは、夢か、幸福か。
新聞部の創設。柏原第二高校に転校してきた安達は、島で唯一の小学生・相原大地のために部活動を始めることを提唱する。賛成するクラスメイトたちだったが、七草はそれが堀を追い込むための巧妙に仕組まれた罠であることに気づく。繙かれる階段島の歴史と、堀が追い求めた夢。歩み続けた7年間。その果てに彼女が見つけた幸福と、不幸とは・・・・・。心を穿つ青春ミステリ、第4弾。
「いなくなれ群青」新潮文庫nex 590円(税別)
「その白さえ噓だとしても」新潮文庫nex 630円(税別)
「汚れた赤を恋と呼ぶんだ」新潮文庫nex 590円(税別)
「凶器は壊れた黒の叫び」新潮文庫nex 630円(税別)