【書評】感覚を失くしても謎を解く名探偵「LOST 失覚探偵(上) 著:周木律」講談社タイガ

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こんばんは、めぇ太です。

今回は以前ご紹介した「眼球堂の殺人」の著者 周木律の別シリーズの作品です。

(以前の紹介レビューはこちらをご覧ください。【小説レビュー】眼球堂の殺人~The Book~は本格ミステリ好きにおすすめの傑作!

ミステリーに登場する名探偵には洞察力、観察力などがつきものですが、それに加えて鋭い「感覚」をそなえていることが名探偵の特徴といえるのではないでしょうか。

本作LOST 失覚探偵 (上) (講談社タイガ)はタイトルのとおり「感覚を失くす」探偵です。

目次

1.名探偵:最後の事件

2.病:失覚

3.輪廻:幕開け

4.地獄界:焼死

5.天界:餓死

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あらすじ

舞台設定は戦後の日本。

荒れ果てた東京に本土に戻ってきた名探偵の助手・三田村工(みたむらたくみ)が名探偵・六元十五(ろくもとじゅうご)と再会するところから始まる。

の前に、、、戦前、名探偵が表舞台から姿を消す前、最後の事件が解決するラストシーンが描かれています。

で、助手が名探偵のもとに訪れるところからストーリーが動き出します。

三田村は六元と再会するも、探偵活動をせず安穏と暮らしているらしい名探偵に苛立ちを隠せない。

名探偵の力は戦後の混とんとしている日本に必要なのだからと復帰をのぞみますが、そこで名探偵が「失覚の病」に侵されていると知ります。

赤・青・緑の3色の視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚の7つの感覚を「収斂」のたびに失っていく。それが「失覚の病」。

推理の材料がそろったとき、脳がフル回転して手がかりを組み立て、事件の謎の答え見出すため、気を失っているような状態になり脳内で「計り知れない作業」をすることを「収斂」と呼んでいます。

そして「収斂」のたびに7つの感覚のうち一つを失っていく。

名探偵にとって感覚は重要です。特に六元十五は感覚がとてつもなく鋭い人物と描かれています。名探偵・六元十五にとっては感覚は武器なわけです。その武器を名推理のたびに失うのですから、探偵としては大きな痛手になるはずです。感覚を失っていく中、それでも事件があればそこに飛び込むのが名探偵とばかりに事件に巻き込まれていく・・・。感覚を失っていく中でどうやって探偵を続けていくのか気になります。

本作は「上・中・下」の3作に分かれて発刊される予定となっていて、今回の上巻では2つの事件が起きています。

目次の4,5がそれぞれの事件になりますが、「地獄界:焼死」と「天界:餓死」となっていて、事件の被害者の死因が先に示されているんですね。また、地獄と天とあるように事件は「六道」の見立てとなっていて、それぞれ「地獄は監獄での事件」、「天界は上流階級での事件」となっています。

今後、続編で残りの六道(畜生道、人間道、餓鬼道、修羅道)の4つの事件が描かれることになるのでしょう。

感想

舞台設定が戦後の日本となっていて、そのあたりを描いた作品って少し読みづらい印象があったのですが、全くそんなことはなく、読みやすかったです。サクサク読めてあっという間に読み終わり、続きを早く読みたくなってしまいました。

また、名探偵の六元がこれぞ名探偵という人物に描かれていて、また、日本人離れした風貌を持った頭脳明晰、ダンスもたしなみ、上流階級の中でも引けを取らないという人物像が素晴らしいです。ミステリー好きにはたまらない探偵っぷりです。

また、ネタバレになりますが、最初の事件の前にすでに「緑の視覚」を失っていて、最初の事件(地獄界)を解決することで「嗅覚」を失ってしまいます。さらに次の事件(天界)では「味覚」を失ってしまいました。

中巻以降、3つの感覚を失った状態で名探偵ぶりを発揮できるのか、三田村がどうやってフォローして推理のピースを集めるのか、そこが楽しみです。

今後、中巻は2017年1月ごろの発刊が予定されています。

で、その前に以前ご紹介した「堂シリーズ」の第2作目「双孔堂の殺人」が先日発売されました。今はまだタンスの上に積まれています、、、

早く読んでご紹介したいですが、その前に今読んでるのを早く読み終わらなきゃ!

名探偵ものを読みたい気分の方にはぜひおすすめの一冊です!!

では!!

<作品紹介より>

破格の推理力を持ち、その名を轟かせた美貌の名探偵・六元十五。だが、戦火の気配漂う中、突如として探偵は表舞台から姿を消した。あれから七年-。助手として、数多の難事件をともに解決に導いた三田村は、荒廃した東京で六元に再会した。探偵は、告白する。推理に集中すると感覚を失う「失覚の病」に冒されていることを。しかし、不可解な連続殺人が発生し、再び二人を事件に呼び戻す!

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