こんばんわ、めぇ太です。
京都といったら、寺、神社、八つ橋、舞妓さん、そして森見登美彦。
「夜は短し歩けよ乙女」で山本周五郎賞、本屋大賞2位を受賞し売れっ子作家である森見登美彦氏の最新作の小説です。本作「聖なる怠け者の冒険(著:森見登美彦)朝日文庫」でも京都本大賞を受賞しています。
森見登美彦氏の作品といえば、ほとんどが京都を舞台としたファンタジーで、本作も京都を舞台としていて祇園祭の宵山での冒険ファンタジー(?)となっています。
学生時代は僕も京都に住んでいたこともあり、森見氏の作品を読むといつも京都に行きたくなります・・・あんまり出歩いてないけど。
地名も実在する名前で登場するので、京都に住んだことのある方なら「あ、あの辺ね」って感じで、読んでて思わずうれしくなりますよね?(あとがきによれば、あくまで小説なので「現実」のものではない、とのことですが)
また、森見作品は言い回しが古風な感じだったり、たまにおふざけがすぎるのでは、というような文章で、独特な文体でどんどん作品に引き込まれます。本作でも筋肉のことを「マッソウ」といってみたり、、、ツボりました(笑)あいかわらずエロ本を桃色資料と呼んだり、変な名前の組織が出てきたりと、読んでて楽しくなりますよね!
ざっくりあらすじ紹介
あんまり書くとネタバレになるので、裏表紙の作品紹介から引用。
社会人2年目の小和田君は、仕事が終われば独身寮で缶ビールを飲みながら夜更かしをすることが唯一の趣味。そんな彼の前に狸のお面をかぶった「ぽんぽこ仮面」なる人物が現れて・・・。
宵山で賑やかな京都を舞台に果てしなく長い冒険が始まる。
ぽんぽこ仮面・・・
この段階でもう面白いです。内容が気になって仕方ありません。
もう少し詳しく紹介すると、このぽんぽこ仮面、突然京都の町に現れた怪人ながら人助けをするいい怪人です。その怪人が超絶怠け者である小和田君にぽんぽこ仮面を引き継ごうとしている・・・なぜ人助けの怪人を怠け者にゆだねようとするのか。ぽんぽこ仮面って誰よ、とここからはネタバレになってしまいますね。
まぁぽんぽこ仮面といっても、普通の人です。体格のいい、強いマッソウを持った頑張り屋さんです。
ぽんぽこ仮面の誕生する場面が僕には心に刺さるような、そんな感想です。
(ここからもしかするとネタバレになってしまうかも)
思えば、仕事に追われ、自分の能力を実地で証明することに躍起になっているうちに、いつの間にか歳月は流れていた。何事かを成し遂げてきたはずだが、振り返ってみると、自分が想像していたものとは違っていた。何よりも納得がいかないのは、自分がまったく満足していないということであった。
(中略)
そうして手をこまねいている間にも、自分の中にある根っこ、一番大事なものが窒息しかかっていて、手遅れになる時が刻一刻と迫ってくるような焦燥感が募る。
諸君はごまかしてオトナになったつもりでいるのだろうが、いずれ帳尻を合わせる日が来る。そのとき積もり積もった負債をどうする。私はどうする?この迷路の出口を早く見つけなければ、時間は流れるように過ぎ去り、「栄光」すなわち自分が生きているという実感を得られぬまま、自分はなんだか分からないままモヤモヤを抱えたまま死ぬ。自分という人生が得体のしれない負債を抱えたまま終わる!
きっと同じように焦燥感を持ちながら漠然とした不安を持って日々を過ごしている人も多いはずです。そんな心に突き刺さる話です。
とにかく、基本的にユーモアあふれていて、登場人物もみんな個性的な森見ワールド全開
ぽで、京都気分を味わえる小説です。
最近、おもしろい小説読んでないなぁ、という方にぜひおすすめしたい作品です!
ちなみに、初回限定でカバーがリバーシブルになっていてこんな感じになっています。
ぽんぽこ仮面です。
まだ書店にあるかはわかりませんが、購入の際にはぜひ確かめてみてください!
では!!