話題になったっていっても、僕、文庫しか買わないから知らなかったんですけどね笑
書店でブラブラしてると、本の紹介にTBS「王様のブランチ」で話題沸騰と書かれていて、帯にも、、、と書かれていたので気になってしまいました。まんまと宣伝に引っかかったわけですね笑
しかも表紙のイラストがなかなかおどろおどろしい雰囲気ですが、そういう作品が番組で紹介されるほど話題になるっていうイメージがなかったので、期待が高まるー
それだけ話題になったってことは、どんだけ面白いミステリなんだよと。
帯には「裏切られた!!こんな経験二度としたくない!」と本仮屋ユイカのコメントが記されています。裏切られた、ということは作品中にそういった仕掛けがあるということですねぇ。
ミステリ小説の楽しみ方としては、作者が巧妙に仕組んだトリックに騙されるということも含まれているのではないでしょうか。素直に騙されながら読むもよし、推理して謎を解きながら読んで、引っかかって「くそぅ、そうきたか~」と悔しがるもよし、読み方は人それぞれ。
僕はある程度は考えながら読みますが、それでもむしろ騙されたいですけどね!
騙された方がうまいトリックがしくまれていて、いい作品ではないですか?
あらすじ
本作はいちおう作中作になる、のでしょうか??
著者の長江俊和氏が知人から入手したライター・若橋呉成のルポタージュ「カミュの刺客」
それはあるとある理由で掲載禁止となったルポだった。
ルポの内容は天才ドキュメンタリー作家・熊切敏とその愛人・新藤七緒の心中事件。その愛人は心中で生き残り、事件後、一切の取材に応じてこなかった。
そして、7年の月日がたち、知人の依頼、また自分自身の興味から事件の当事者である新藤七緒に取材依頼の猛アタックをし、ついにインタビューが実現することとなった。
そして、事件は本当に心中だったのか、過激なドキュメンタリー作品を生み出していた熊切を殺害するための偽装だったのではないか、心中であったなら一体なぜ心中に至ったのか、「愛とともに逝く」の心境とは。
という、心中事件の当事者へのインタビューを中心に、事件の真相を解明するというルポ作品を手に入れた長江氏がそれを紹介する形で出版した、という作品です。
ややこしいですね~
目次は
序 長江俊和
カミュの刺客 若橋呉成
「カミュの刺客」出版にあたって 長江俊和
「カミュの刺客」文庫版ーあとがきにかえてー
となっています。
「序」でルポの入手から出版に至る経緯を、そして「カミュの刺客」は若橋呉成のルポをそのまま掲載したという形になっています。
そして、「カミュの刺客」出版にあたって、ではルポの真相の解説、となっています。
そして、あとがきにかえてとなっている最終章も解説部分となっています。あとがきから読む癖のある人はご注意を!!これも作品の一部ですからね。
感想(※ネタバレ注意)
作品の体裁がややこしい・・・
変に著者の名前で作中のルポ作品の解説とかあとがきとかがあるから、フィクションなのかノンフィクションなのかわからなくなる、、、、ってことはないか笑
ミステリをよく読む人にとっては本作に仕組まれた叙述トリックの仕掛けに気づく人も多いはず。
とはいえ、他にも仕掛けはちりばめられていたので、全部には気づきませんでした・・・かなり巧妙に仕掛けられたトリックなので、間違いなく、読み終わってからもう一回読み直したくなる作品です。
間違いない!
<ネタバレ注意>
だって明らかに途中から新藤七緒のセリフないもんね。
ただ、若橋の自白が横読みとは気づかなかった。野球のラテ欄で縦読みってのはたまにあるらしいけど笑
あと、「刺客(しかく)」ってのがキーワードになってるとは・・・まさかって感じ。
とにかく、注意深く読んでも気づかない仕掛けがちりばめられていて、トリックも、純粋に作品としても楽しめるミステリです。
読んだことがある方も文庫化されたこの機会にぜひもう一度読み返してみては?
では!!
<作品紹介より>
著者・長江俊和が手にしたのは、いわくつきの原稿だった。題名は「カミュの刺客」、執筆者はライターの若橋呉成。内容はドキュメンタリー作家と心中し、生き残った新藤七緒への独占インタビューだった。死の匂いが立ちこめる山荘、心中のすべてを記録したビデオ。不倫の果ての悲劇なのか。なぜ女だけが生還したのか。息を吞む展開、恐るべきどんでん返し。異形の傑作ミステリー。
「出版禁止」(著:長江俊和)新潮文庫 590円(税別)